民泊許可制で全国解禁ー11/22日経朝刊 ホスト側の注意点
2015.11.23 不動産情報
昨日の日経新聞の朝刊にて 民泊 がどうやら来年の4月より国家戦略特区だけでなく許可制により全国で可能となるかもしれない??という内容の記事が一面トップに出ておりました。(電子版では)
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS21H2V_R21C15A1MM8000/
先日までは ”来年度中を目途に” 規制の概要を決めていく。なんてお話でしたからそんな悠長なこと言ってる場合じゃないなというなんかしらの局面になってきたのだと思います。
取り急ぎの策だとは思いますが、現在ある旅館業法の中に民泊を組み込む事により、時間短縮させたようです。既存の「ホテル」「旅館」「民宿」「簡易宿泊所」の他に新たに「民泊」という枠を設け許可制のもと管理していくそうです。
「民泊」という一つの旅館業の許可を得る為の決まりが今後争点になってくると思われます。
今旅館業を管轄する厚生労働省のページを閲覧しようと思いましたが、恐らく閲覧殺到してページパンクしていしまっています。つまりそれだけインパクトのある記事でもろもろ諸業界みなさん注目しているということでしょう。http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html
簡単に旅館業の概要とその中で民泊のホストが注意すべき点について
所轄官庁は厚生労働省、旅館業を営もうとするものは都道府県に申請し許可を受けることが必須となります。一般的にホテルや旅館になると許可を受けるには建築基準法上の建築基準を満たし且つ消防法上の基準も満たし、且つ保健所の検査もクリアしなければならず、建物内の設備施設の段階で相当ハードルが高く、素人が突然ホテルや旅館を始めようと思っても難しいのが現状です。
また建築基準法の中には用途地域というのがあり、場所により建築できる建築物が決まっており、そもそもに営業できない場所というのもあります。
一番規制が緩い簡易宿泊所でも建築基準法的にクリアできるだけでも大変でしょう。
一時新聞を騒がせた、「無許可の違法なゲストハウス」というのがそういう意味で無許可で違法なわけです。
民泊はそれらの既存の旅館業対象の施設より規制がだいぶ緩和されるとのことですが、そういったハードルをくぐり抜け、現在営業をしている旅館業協会にしてみれば許しがたいことでしょうから、制度への反発や規制強化の圧力は半端ないものとなるでしょうね。民泊推進派としてはまだまだ安心できない状況です。
それを踏まえて、今現在ホストをされている方、これからホストになろうと検討されている方への注意点。
私は日々不動産投資・運用する中で、常にリスクヘッジすることの重要性をあげます。
「最悪のシナリオを想定し、それでもやる価値(購入する価値)があるものだけやる(買う)」
と決めてますので、かなりコンサバな内容ですが悪しからず。 また、あくまでも個人的見解ですので違っても怒らないでくださいね^^;
因みに、不動産で失敗する人はどれもインアウトのシナリオ(出口戦略)を想定しないから失敗すると個人的には思っています。(それはまた別の機会にお話します)
1.民泊対象が、所有権物件のみになる可能性
まず現在所有者にすら許可を得ず無許可で転貸されている(転貸禁止すらわかってない)ホストがいらっしゃいますが、そういうのはどうしようもなくアウト。というか大手の不動産会社さんが管理されている物件では世界の大都市で起きているように 抜き打ちの査察が入っているそうです。契約書上転貸禁止の条項が入っているので即日契約解除、最悪は損害賠償請求されても致し方ない状況。家賃保証に加入している場合は何かしらの形でブラックリストに入る可能性もありますので即やめるべきでしょう。(特に賃貸は2-3月が勝負ですので、それ以降にずれ込んで発覚するとほんとに逸失利益分として損害賠償請求されることになるかもしれません。)
またオーナーさんの許可を受けている賃貸の場合も難しくなる可能性があるように思います。
これはあくまでも最悪のシナリオ想定ですが、
現在世界の大都市でAirbnbに不動産を貸し出すことによる弊害で、一般賃貸の賃料が値上がりする事態になっています。パリを例に出すとパリ市内でAirbnb物件は20000軒超えているそうです(東京で現在7000-8000軒)
そりゃ投資用に購入し運用している所有者としては、よりよい利回りを求めるわけで、Airbnbに出せば少なくとも一般賃貸の1.5倍程度の利回りになります。一般賃貸に出すのがバカバカしくなる。そうすると普通に住む人の場所がなくなる、不動産オーナーとしてはならばと賃料の値上げをする。という流れです。日本人は経済状況によって賃料を上げる下げるという発想があまりない方が多いのでこの限りではないですが、国としては(旅館業界としては)そういった事例を元に所有物件のみと絞ってくる可能性はあります。
逆にそういう場合、所有者が管理を外注するという形での代理ビジネスは堅調になるでしょう。
2.一部屋当たり(面積当たり)の宿泊可能人数が定められるでしょう
現在、多くのAirbnbホストさんは一部屋にどれだけの人数を宿泊させられるかで知恵を振り絞っている方も多いと思います。(折り畳みのソファベッドを利用したり、和式の布団を活用したり)
通常の旅館業においては、部屋の面積に対する宿泊定員が定められています。
またお手洗いやお風呂場の数も定めらています。
読むだけで嫌になってくる細かさ^^;
トイレやお風呂場の数は実際の民泊では厳しいので大丈夫と思いますが、たぶん旅館業界の圧力もあり、ワンルームで3人オッケーになるか微妙かなと思う次第です。
今現在それ以上の人数を宿泊させている方は減収の恐れありです。
3.所有者の税負担増。
これは間違いないでしょう。まず宿泊税必須になり、固定資産税も少なくとも建物分は住宅としての減免措置がなくなるでしょう。今の6倍??住宅ローン減税受けてる物件、転勤居宅でOKでていてもAirbnbにすると住宅ローン減税は受けられなくなるでしょう。。(建物の一部貸出なら面積案分で受けることも可能だそうです。)
逆にいえば、事業用物件扱いとなるわけで、今まで水道光熱費・インターネット費用経費で計上できなかったのができるようになるかもしれない。すべて確定申告で青色申告が必要になり面倒は面倒ですが。
4.Airbnb 代理業者の運営が熾烈になる。
上記踏まえますと、「所有者は許可申請を受け、税金多く払い且つ代理業者に手数料を払い、それでも尚 一般賃貸より利益がでることが約束される。」状況でないとAirbnb代理業者を使う事はないわけで、物件所有者は実績ベースに業者を選択する。所有者の利益を保証するために代理業者の手数料は低くなる。大手の上場企業が代理業者を始め、スケールメリット効かせて手数料下げれば間違いなく既存の小さな代理業者は消えるでしょう。。(最悪シナリオ)
5.それ以外に注意する事
タワーマンションの規約問題が最近言われていますが、恐らくほぼすべてのタワーマンションと高額のファミリータイプのマンションは早かれ遅かれ、規約で民泊はNGになるでしょう。リゾートは定住者割合によりますかねぇ。
今まで死んでた戸建ての別荘地は息を吹き返すかもしれない。
顧客名簿の問題:今まで直接会わないで取引成立できてましたが、できなくなるかもしれない。お薬の調剤と同様、スカイプ等でもOKになるといいのだけど。。
近隣住民との問題:私は現在でも年に数回は菓子折り持って近所に挨拶に行きます。
私のお客様は幸いに節度のある素敵な方々が多く、問題は起こったは少ないです。逆に近隣と仲良くなってくれたりと好印象のお客様が多い状況。ただ一度ゴミ問題でトラブルあります。。(マンション住まいの方がよくやります、生ゴミ匂うからと外に出していたらカラスにつつかれゴミ散乱)ゴミの分別の問題や騒音問題、一度出ると信頼回復に相当の時間を要します。そういったトラブルが発生しないよう事前の近隣根回しと、何かあった場合の連絡先等伝えておくのが肝要でしょう。
総括すると、恐らく規制が敷かれる中、それでも民泊で儲けがでるのは
大手代理業者(が出てくるとしたら)か、自己所有物件もしくは家族・知人の戸建てメインの不動産を直接管理する場合に限られてくるように思います。また日本人は基本コンサバで、外国人は犯罪を犯す・汚く使うというイメージがあったり、(そんなことはない。人によっては日本人以上に綺麗に使っていただけます。)若い人でも他人が家に入る事に抵抗があり諸外国の大都市より広まらない可能性もありますが、年々増加する空家・地方の過疎化の解決の糸口として私は非常に有効な策と思っています。
なにより、今までは何か始めるには何か新しく施設を作らなければならなかったところが、「今あるものを有効に使う」ことが可能な事業であり、今の日本の解決しなければならない問題の一つを解決する事ができると信じ、これからも活動していきたいと思います。
今後始めてみたい方、ご質問等あればお気軽にどうぞ!
ってか 民泊って呼び方がかっこ悪すぎて、そこ変えて欲しいw